2021年5月19日、第11回COMOLYオンラインセミナーが開催されました。
東京リトルプレイス代表の太田みえ氏を講師に迎え、ホームシェアの魅力と活用法をテーマにお話をしていただきました。
太田さんの生い立ち
高度経済成長期のさなか、山梨県に生まれた太田さんは、大学進学を機に東京での暮らしを始めました。
そのまま就職し、1993年に製品マニュアルなどを制作する会社として独立後、2008年のリーマンショックの際に、収入がゼロになるという経験をしたそうです。
そのとき、仕事と住まいを同時に失う人たちの姿に心を痛め、低額な住まいを提供しようと2011年に宅地建物取引士の免許を取得、ホームシェアのマッチング事業を開始しました。
ホームシェアとは?
建物をまるごと貸し出すシェアハウスとは異なり、ホームシェアは、家主が住む家の中の空いている部屋を貸し出し、共同生活をするという仕組みです。
これは、一人暮らしの高齢者の孤立が問題となったヨーロッパで生まれました。
高齢者と若者が共に暮らすことで、孤独や不安感の解消、地域との接点を得られるなどのメリットがあります。
もともとある家の一室を貸し出すため、賃料を安く抑えられることも魅力です。
東京リトルプレイスの取り組み
太田さんが代表を務める「東京リトルプレイス」では、低額な賃料による若者支援を主なねらいとして、貸主と借主を仲介する事業を行っています。
生きがいづくりや社会貢献を望むシニアの方、また高齢の親御さんの見守りを望むお子さんが貸主となり、これまでに27件をマッチングしてきました。
日本にはホームシェアという仕組みが浸透しておらず、貸主として声をあげてくださる方が少ないことが課題、と話す太田さん。
県人会の繋がりから貸主を探し、地元から上京してくる学生とのマッチングを試みるなど、ホームシェアそのものを広める活動に力を入れています。
東京の住まい探しと公的制度・NPOの利用について
東京で、一般的なアパート(例:家賃6万円・1K)を借りるとき、敷金・礼金、不動産業者への仲介手数料、また最低限の家電や家具を揃えるための初期費用は、すべて合わせておよそ50万円かかるそうです。
さらに、全国30の大学生協が2021年に調査した学生の生活実態調査では、生活に必要なお金は月12万円ほど、住居費はその中の44%を占めているという結果が出ました。
それらを出来るだけ安く抑えて余裕を持って暮らすために、太田さんがおすすめするサービスや制度をご紹介いただきました。
住居費を抑えたおすすめ物件
「金銭管理や食事など生活面で自立の出来る人が、自分でシェアハウスを探す場合におすすめなのが「ジモティー」「シェアシェア」「ハナサカス」といったサービスです。
私が実際に見学した独身寮「DORMY S+ 花小金井」では、平日に夕食を予約することも可能です。
インターネットで物件を探す場合、信頼出来るサイトを用い、契約条件などをしっかり確認することが大切です。
農業を主体として里山で暮らすことに魅力を感じるなら、「東京里山シェアリング」はいかがでしょう。
立地は山奥というわけではなく、バスを使えば都市部へ買い物に行くことも可能です。」
公的制度を利用した場合
「厚生労働省がNPO法人「青少年自立援助センター」に委託している事業「若年無業者等集中訓練プログラム」は、個々の課題と向き合い、体力づくりや実習を経て半年後の就労を目指す、合宿型のプログラムです。
朝昼夕の食事・光熱費・部屋代を含め、月額6万円で参加することが出来ます。
上京してから困りごとが出てきたときには、東京都新宿区のNPO法人「自立生活サポートセンター・もやい」や、都が運営する窓口「東京チャレンジネット」にて相談を受け付けています。
もうひとつ、孤立が心配な方には、私も在籍している「放送大学」に入学し、大学生という身分を手に入れることをおすすめします。
放送大学は、全国におよそ9万人の学生がいる通信制大学で、満15歳以上の方が学科試験なしで入学、学習することが出来ます。
学生同士の交流で、人との繋がりを得られるでしょう。」
まとめ
最後に太田さんは、
「親元を離れて暮らすために、あらゆるサービスや制度を利用しましょう。
自分を変えるより、環境を変えることの方が合う人もいると思います。
そうすることで、親以外の信じられるおとなに出会うことも出来ます。
住まい探しの同行や契約の立ち会い、放送大学での仲間づくりなど、私も出来る限りご協力いたします!」
と心強いお言葉をくださいました。
講演終了後、ひきこもり当事者を含むリスナーの皆さんからは、
「今すぐに生活を変えられるわけではないけれど、この先のひとつの選択肢としてホームシェアを知って良かった」
という声や、
「人間関係を築くことが苦手なので、家主との交流が難しそう」
という感想が寄せられました。
貸主となるとき、それまでの生活そのままで暮らせますか?という質問には、ケースバイケースです、と太田さん。
中には、自宅の二階を全面的にリフォームして賃貸専用にし、借主とは生活が一切触れ合わないようにした方もいらっしゃるのだそうです。
他にも、対面でコミュニケーションを取りたい貸主と、顔を合わせずメールだけで連絡を済ませたい借主との、ジェネレーションギャップが問題になった例がある、というお話もありました。
感想
やはり、ホームシェアかシェアハウスかに関わらず、他人と共同生活をするには、お互いに歩み寄る、最低限のマナーを守るなどの、相手への心遣いが欠かせないのだなと思いました。
また、部屋を借り続けるためには、相応の安定した収入が必要です。
継続的な収入を得るためにどうしていくか、COMOLYなどのサービスの力を借りて、いろいろ学びながら考えていこうと改めて思いました。
今回は主に東京に出て暮らすことを想定したお話でしたが、自分の地元にホームシェアの文化が広まり、仕組みが整ったとしたら、個人としても地域としても暮らしが豊かになりそうです。
異なる世代の人たちとの交流は、学びや新しい刺激を生むと思います。
筆者自身がそこに加わるかはまた別の話となりますが、お互いに見守り合いながら、安心して元気に暮らせる場所というのは、それだけで魅力的ではないでしょうか。
ホームシェアが持つ可能性を知り、将来が明るくなったように感じました。
今回の記事は以上となります。お読み頂きありがとうございました。
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